日商簿記の次のステップとして、人気が高まりつつあるのがBATIC。
しかし、BATICは検定が始まって日が浅いので、なかなか詳しい情報が出てきません。特にSubject2は知りたい情報をほとんど見つけることが出来ません。
この記事では、「これからBATICのSubject2を受けてみよう」と思っている方にむけて、難易度や試験範囲を日商簿記の試験範囲と比較しながら解説していきます!
BATIC試験概要
BATICは英語力と国際会計スキルを同時に測る検定試験。試験結果は合否ではなく、TOEICのようにスコアによって評価されます。
概要の部分はこちらの記事にまとめてあるので、こちらをご覧ください。
国際会計検定BATICとは?経理マンが実務・転職への役立ち度を解説!
BATICの難易度
東京商工会議所が出版している公式テキストの情報を参考に、BATICの難易度をまとめたのが下の表です。
Subject2の受験資格を得るためには、Subject1で320点以上取る必要があります。
表にもある通り、Subject2のスコアによって称号が2つに分かれており、700点以上で「アカウンティングマネージャー」、880点以上で「コントローラー」となります。
難易度を日商簿記で例えると、アカウンティングマネージャーが日商簿記2級程度、コントローラーが日商簿記1級程度となっています。
次に、実際の受検者データを見てみましょう。
※東京商工会議所HPデータをもとに作成
Subject2でアカウンティングマネージャー以上を取得しているのは、受検者全体の20%以下です。
Subject2の試験範囲と日商簿記の試験範囲の比較
Subject2の問題構成は以下の通りです。
- 選択問題60問@7点=420点
- 記述問題4問@45点=180点 合計600点満点
1つ目の選択問題は5択問題です。60問のうち、前半30問がアカウンタントレベル、後半30問がコントローラーレベルの問題です。
Subject2の試験範囲について、各単元の出題内容を日商簿記と比較してみました。日商簿記の資格を持っている人が受験した場合のレベル感を下記のように示しています。
- ◎:出てくる英単語さえおぼえればOK
- 〇:日本基準との差を覚えればOK
- △:プラスアルファで新しい知識が必要
- × :0から勉強が必要
※感覚ベースでつけているので、参考程度にご覧ください。
項目が多く、縦長になってしまったので2枚に分けました。
繰り返しますが、上記の表はこれから勉強を始める人にむけてイメージを持ってもらいたいという趣旨でまとめています。
よって、正確性は保証しかねるのでご了承ください。
公式HPではBATICのレベルを「日商簿記〇級レベル」と表現してくれています。
しかしこのように見てみると、意外と新しく勉強しなければならない単元は多いことに気づきます。
アカウンティングマネジャーを目指すには?
アカウンティングマネジャーの称号を得るには、Subject2で50%以上の正答が必要。
上の表を見ればわかる通り、簿記1級の学習をしたことがあれば、7割程度の単元は学習済です。よって、アカウンティングマネジャー取得のハードルはさほど高くありません。
一方で簿記2級レベルの人は、少しまとまった勉強時間が必要です。上の表は直近の簿記2級試験の内容をもとに作成しています。
簿記2級の試験範囲は昔と比べて大きく変わっています。一番の変化といえば、連結会計と税効果が導入された点でしょう。
これらの単元が入る前に簿記2級を取った人は、新しく勉強が必要となります。連結と税効果は日本語でも理解が難しいので、いきなり英語で勉強するには少しハードルが高いかもしれません。
まずは最新の簿記2級のテキストを一度勉強してからBATICの勉強を始めることをおすすめします。
簿記2級レベルの知識でアカウンティングマネジャーレベルを取りに行くとしたら、難しい単元を捨てる勇気も必要です。
逆に言えば半分取れなくても目標達成できるので、難しい単元に時間をかけるのは非効率といえるかもしれません。
「とにかく効率重視」という場合であれば、従業員給付・キャッシュフロー・為替レート変動の影響の会計処理なんかは「捨て単元」です。
前半の選択問題では、簿記2級ですでに学習した範囲を確実に得点につなげ、わからない問題は運まかせ。
後半の記述問題はわかるところだけ埋めれば、アカウンティングマネジャーレベルは到達できるでしょう。
コントローラーを目指すには?
コントローラーの称号を得るには、Subject2で80%以上の正答率が必要。
受検結果を見てもわかる通り、全受験者のうちコントローラーの割合は5%にも及びません。
ただしこの数字は受験者全体を分母にしているので、少々極端な数字が出てしまっているのは確かです。
例えば日商簿記1級の合格率は10%程度。この数字の分母は、全員が簿記1級を目指している人間ですから、単純にパーセンテージだけを見て日商簿記と難易度を比較することはできません。
ただ、確実に言えることとしては、簿記1級の学習をしたことがあれば、コントローラー取得がグッと近づくことです。
先ほどの単元表を見てもらえればわかる通り、Subject2の試験範囲と簿記1級の試験範囲は7割程度かぶっています。
基本的な考え方を日本語ベースで理解した状態からスタートできるので、あとはいかに早く出題形式・パターンになれるかが課題になります。
反対に、簿記1級の勉強をしたことがなければ、いきなりコントローラーを目指すのは無謀です。
そもそも、簿記1級よりもBATICのコントローラーを優先して取得しようという状況があり得ないような気がするので、ここではこれ以上は深入りしません。
おわりに
BATICのSubject2の難易度・試験範囲を日商簿記と比較しながら解説してきました。
会計基準の国際標準化が進む中で、BATICのような試験の価値が高まってくることは間違いないでしょう。
ただし、だからといって日商簿記の勉強をおろそかにしたままでBATICを受験するというのは少し考え物です。
まずは日商簿記からしっかり勉強してみようと思った方は以下の記事を読んでみてください。
経理職の必須資格!日商簿記取得の概要と転職への活かし方をまとめてみた(3級・2級・1級)
以上です。ここまで読んでいただきありがとうございました!
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