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簿記一級の合格率はどのくらい?公表値に隠された事実を読み解く!

 こんにちは!はまちょうです。

 

 簿記一級の勉強を始めようとしたとき、気になるのがその合格率。一体どのくらいの確率で簿記一級に合格できるのでしょうか?

 

 ご存知の方も多いと思いますが、簿記一級の合格率は一般的に約10%と言われています。受験者は毎回10,000人程度なので、単純に考えれば毎回1,000人程度が合格しているとわかります。しかし、この数字だけではわからない重要な事実が隠されています

 

 例えば、受験者間の属性の違いです。受験者の中には純粋に簿記一級のみを目指している人間のみならず、税理士や会計士を目指して勉強している人間がごろごろいます

 

 さらに言えば、簿記一級は試験範囲が非常に広く、かつ難しい論点もあるため、学習の途中で挫折してしまい、そもそも受験すらせずに終わってしまうなんて場合もあるのではないでしょうか。

 

 そこでこの記事では、日本商工会議所が発表している「合格者÷実受験者」で導き出される合格率からさらに踏み込んで、日商簿記一級の勉強を始めた人間」を母体として、純粋に簿記一級のみを受験する人間の合格率に迫ってみたいと思います

 

 もしあなたが簿記一級を勉強する前であれば、この記事を読んで本当に簿記一級にチャレンジするかどうか再検討する材料になるはず。また、すでに学習を始めている方であれば、再度気を引き締めて勉強するきっかけになるはずです。 

 

 本記事では推論も多分に含まざるを得ないため、異論があればその部分の数字を置き換えて計算してみてください。算数レベルの計算式ですが、計算過程は丁寧に記述していきますので!

日本商工会議所が発表している簿記一級の合格率

 日商簿記検定の主催者である日本商工会議所が発表している、直近の日商簿記検定一級の合格率は以下の通りです。

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 大体どの回も合格率が10%前後となっています。過去5回の総合格者を実受験者総数で割ってみても9.48%となっています。

 

 合格率が約10%ですから「10人に一人受かる」と簡単にイメージできます。しかしより詳しく見てみると、そう簡単に考えられるものではありません。そこには最終的な合格率のみからは見ることが出来ない事実が、いくつか存在します

 

 簿記一級を受ける前に、ぜひこの事実を知っておいていただきたいと思います。

簿記一級の合格率に隠された重要な事実

受検者全員が簿記一級だけを目指して勉強しているわけではない

 簿記一級の受験者の大半は簿記二級まで合格しています。ですから、ある一定以上の簿記知識を持った人間の中から、さらに上位10%に入らなければ合格までたどり着けません

※ここでは詳しく書きませんが、簿記一級は実質的に相対試験です。

 

 この時点で、十分合格圏内の実力を身に付けることが難しいことがわかるでしょう。しかし、現実にはさらにこの10%圏内に入るために考慮すべき事実が存在します。

 

 それは、簿記一級の受験者は、純粋に簿記一級合格のみを目的としている人間だけではないということです

 

 具体的にいえば、公認会計士や税理士を目指す人間が数多く存在しているということです。彼らが簿記一級を受験する理由は様々です。

 

 税理士を目指す人間であれば、受験資格の獲得が目的です。日商簿記一級に合格することにより税理士試験を受験することが出来るようになるので、多くの税理士志願者が受験しています。

 

 また、会計士を目指している場合では、本試験前の単なる力試しであったり、通っている予備校の実績づくりのために依頼されて受験しているなんていうケースも存在します。

高い脱落率

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 以前この記事簿記一級を独学で取りたい方必見!独学で合格する条件とは?独学で1発合格の僕が解説!でも紹介したのがこの表です。

 

 上述した通り、簿記一級の合格率は「合格者数/実受験者数」によって算出されます。分母が、上記の表で申込者数をあらわす「受験者数」ではない点に注意が必要です。

 

 簿記の試験申し込みが始まるのが大体2か月前くらいであること、さらに簿記一級の学習には短くて半年程度はかかることを考えると、簿記一級に申し込んでいる人間は、ある程度の時間を割いて学習を進めてきたうえで、申し込みを行っていると考えられます。

 

 この事実を念頭に置いたうえで上記の表を見てみましょう。一番右の列の脱落率は、簿記を申し込んだものの実際には受験に至らなかった人間の割合を示しています。

 

 もちろん当日の急用や体調不良等、様々な理由が考えられますが、実際にはあきらめて受験を見送ったケースがほとんどでしょう。

 

 たったの2か月程度で約20%が脱落していってしまうほど、学習のモチベーションを保つのが難しいという事実がわかります

簿記一級のみを受験する場合の合格率算定

 冒頭でも示した通り、この記事では簿記一級の勉強を始めた人数を母体とした場合の合格率を考えていきます。

 この数字を求めるにあたって知るべき数字は、

①簿記一級の勉強を始めた人数

②合格した人数

③簿記一級のみ受験している人数(学習開始時点、合格時点)

 

 順番に上記の数字を求めていきます。

①簿記一級の勉強を始めた人数

 簿記一級の勉強を始めた人数は、実際に受験した人数から脱落率を割りもどして算出します。

 

 もう一度脱落率の表を見てみましょう。

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 どの回もだいたい20%程度に落ち着いているので、ここでは脱落率を20%とおきましょう。

 

 この20%という脱落率は、申し込みから実際の受験までの約2ヶ月間の数字となります。

 

 100人いれば、2カ月後には80人(100人×80%)、4ヶ月後には64人(80人×80%)、6ヶ月後には51人(64人×80%)となっていく計算ですね

 

 ここでは学習を開始してから受験までの期間を半年(6ヶ月)とします。

 

 2カ月で20%減少(80%残存)なので、逆に考えると2カ月前は1.25倍(1÷0.8)の人数がいることになりますね。

 

 同じように考えて、4ヶ月前は約1.56倍、6ヶ月前は約1.95倍の人数ということになります。

 

 あとは実際に受験した人数に、この数字をかけるだけです。

 

 受験者数は、この表の過去5年の平均をとって9,337人とします。

 9,337人×1.95=18,207人

 となり、簿記一級の受験勉強を始めた人数は18,207人であることがわかります

②合格した人数

 合格した人数についても受験者数と同様に、過去5年の合格者数平均値を使用し、886人とします

 

 ここまでの数字を使えば、簿記一級の勉強を始めた人数を母体にした簿記一級の合格率を求めることが出来ます。すなわち

②合格人数:886人÷①勉強を始めた人数:18,207人=4.9%

 「学習を始めた人数」を分母にしてみると、日本商工会議所が発表している「受験者数」を分母とした場合の合格率の約半分ほどとなりました。

③簿記一級のみ受験している人数

  純粋に簿記一級のみの合格を目指している人間の合格率を算出するためには、

A.簿記一級のみの合格者数

B.簿記一級のみの合格を目指して勉強を始めた人数

 上記の数字を知る必要があります。

 

 まずはA.簿記一級のみの合格者数から調べて見ましょう。

 

 上述した通り、簿記一級の受験者にはいろいろな方がいます。大きく分けると以下の3グループでしょう。

  1. 税理士試験受験予定者
  2. 公認会計士受験予定者
  3. 簿記一級のみの受験者

  まずは税理士試験受験予定者が何人いるか考えてみましょう。

 

 税理士受験資格を得るためには、大きく分けて、①学識(大学での専攻)、②資格、③職歴の3つの方法があります。

 

 この3つの比率を求めるのは困難ですが、受験資格を得るためのハードル的に大差が用には思えないので、仮に1:1:1の比率で受験資格を得ていると仮定します。

 

 税理士の受験人数は直近で約42,000人。税理士試験は通常複数年にわたって受験するものなので、その年に初めて受験資格を得るのはこのうち6,000人程度でしょう。(この辺はもはや感覚。税理士試験に合格するには7年程度要するという仮定のもと算出)

 

 よって、資格取得によって税理士の受験資格を得ている人間は6,000÷3≒2,000人/年間と求まります。

 

 税理士試験の受験資格として認められている試験は日商簿記一級の他にも全経簿記上級が存在します。

 

 全経簿記上級の合格者は年に1,000名程度。知名度の低いこの資格をわざわざ単独で取りに行くとは考えにくいので、その太宗が税理士受験資格を求めて受験している人間であると推定されます。

 

 よって、日商簿記一級合格者のうち税理士試験受験予定者は

2,000-1,000=1,000人

 ということになります。税理士試験は年に一回ですが、日商簿記一級は年に二回なので、一回当たりでいうと、1,000÷2=500人ということになります

 

 続いて会計士試験受験予定者が何人いるかです。会計士試験の受験者数は10,000人程度。その年に初めて受験する人間は2,500人程度でしょう。(この辺も感覚です。合格までの平均期間が4年であると仮定しています)

 

 この2,500人のうち、仮に2割程度が簿記一級の保有者だとすると、その年の日商簿記一級の合格者は500人で、一回当たりでいうと250人程度ということになります

 

 最後に、簿記一級のみ受験して合格した人数を求めます。

 

 合格者総数が886人、税理士受験予定者が500人、会計士受験予定者が250人ですから、この残りが簿記一級のみ受験人数ということになります。

 簿記一級合格者総数:886人-税理士受験予定合格者:500人-:会計士受験予定合格者250人=簿記一級のみ受験の合格者数:136人

  

 これで、A.簿記一級のみの合格者数がわかりました。続いて、B.簿記一級のみの合格を目指して勉強を始めた人数を計算してみます。

 

 簿記一級合格者のうち、税理士・会計士受験予定の合計人数は500人+250人=750人程度です。

 

 彼らにとって、簿記一級の合格は通過点でしかありません。よって、その合格率は簿記一級のみの合格を目的としている人間よりも高いことが想定されます。

 

 ここでは仮に彼らの合格率(勉強開始時点~)が50%だと仮定します。一見、50%だと高く思えますがこれでも低く見積もっています。

※税理士・会計士の場合はほぼ確実にスクールに通っているため、実際の合格率はもっと高いと考えています

 

 すると、簿記一級の勉強を始めた人数18,207人のうち、税理士・会計士の受験を予定している人数は

合格者750人÷50%=1,500人

 よって、簿記一級のみの合格を目指して学習を始めた人数は

簿記一級の学習を始めた人数18,207人‐1,500人=16,707人 

 簿記一級合格者のうち、簿記一級のみの合格を目指していた人数は136人ですから、

136人÷16,707人=0.8%

 この0.8%という数字が、簿記一級の学習を始めた人数を母体とした場合の、簿記一級のみ受験を目指している人間の合格率となります

 

 思っていたより低いと思った方もいるかもしれません。しかし、今回は分母が受験者数ではなく、勉強を始めた人数なので妥当な数字であると考えています。

おわりに

 この記事の中では、正確な数字を算出するにあたって、考慮が足りない部分や、一定の割り切りをもとに数値を仮定している部分が多々あります。

 

 一方で、最終的に算出された0.8%という数字はそんなに非現実的な数字でもないと考えています。

 

 簿記一級の勉強を始める時点では、この記事で書いた事実を知らない人がほとんどだと思います。学習を進める中で“上位10%”に入ることの難しさを悟って挫折していってしまう人はかなり多いのではないでしょうか。

 

 ざっくりな数字でもいいので簿記一級の難しさを知っていただくことで、そんな方が少しでも減ったらいいなと思い、この記事を書いてみました。

 

 以上です!ここまで読んでいただきありがとうございました!