トリ
こんな疑問に答えます。
私は簿記1級を取って転職しました。
転職活動を経験する中で、簿記1級を持っていて本当に良かったと実感しています。一方で、簿記1級をとっても、あまり役に立たないケースがあるのも事実。
簿記1級の勉強はそれなりに時間がかかるので、自分にメリットがあるか見極めてから学習を始めないと、無駄な時間になってしまう可能性も。。
- 転職活動中に簿記1級がどのように評価されたか
- 簿記1級を取ると転職が有利になるケース
- 簿記1級を取ってもあまり意味がないケース
記事を読み終えれば、あなた自身が簿記1級を取るメリットがあるか判断できるようになります。
Contents
転職市場における簿記1級の評価
私のプロフィール
本題に入る前に、私がどのような条件で転職に挑んだかを簡単に記述します。
こんな状況で転職に挑みました。
- 年齢:20代後半
- 経理実務経験:約3年
- 受験企業:各業界の国内最大手レベルで、経理・財務分野でジョブローテーションさせてもらえる企業(業界は絞らず)
- その他経理資格:無(FASS等の他資格も持っていたが、履歴書には書いていない)
後でも書きますが、簿記1級を取得しても、転職に活かしやすい場合とそうでない場合があります。
先に結論を言ってしまうと、私と条件が似通っている場合であれば、間違いなく簿記1級を有効活用して転職できます。
実際に簿記1級を取って転職してみた!
先に結論から書きます。
-
受験企業:6社
-
書類選考通過:6社
-
内定:2社(4社は面接辞退)
私は面接が得意ではありません。売り手市場という時の運も大いにありました。
とはいえ、 簿記1級を取得したことによる効果は、転職活動の随所随所で確認することが出来ました。
まず効果を感じたのが、書類選考。
受けた企業が軒並日本を代表する大企業だったので、書類選考で落ちることも覚悟していましたが、結果は全て通過。
書類選考は相手のレスポンスが見れないので、どこまで簿記1級が評価されたかわかりません。
しかし、この結果から見るに簿記1級の効果は小さくないでしょう。
そして、書類選考以外でも、簿記1級の威力を感じた場面があります。以下では、実際の転職活動におけるシーンに沿って、事例をご紹介します。
転職エージェント:「簿記1級をもっているのは強いですねー!」
まずご紹介するのが、転職エージェントから言われたこの言葉。
これは担当するエージェントとの初回面談の際に言われた言葉です。
私は経理の経験が浅かったということもあり、面談前半はエージェントも「企業を選ばなければ転職できる」くらいのテンションで、やる気があまり感じられませんでした。
しかし、私が簿記1級を持っているという事実を伝えると、面談の流れが変わり、エージェントも積極的に質問をしてくれるようになりました。
なぜなら、より年収の高いところへ転職させるほど、彼らが企業から受け取る報酬も高くなるからです。
エージェント曰く、多少の経験の浅さは簿記1級を武器にすれば十分カバーできるとのことでした。
面接官:「簿記1級はどうやって勉強しましたか?」
これは実際の面接の中で受けた質問です。通常の資格であれば、こんな事は聞かれないでしょう。
このような質問がされるということは、面接官側も簿記1級の難しさについて十分理解してくれているということ。
経理職の面接は一次面接が現場の経理課長・部門長クラス+人事、二次(最終)が経理部長クラス+人事といった組み合わせが基本です。
面接官側にも必ず簿記1級の難しさを身をもって理解している方がいるので、アピールしやすいと感じました。
私は独学で簿記1級を取得していたため、そのことを伝えると「大変だったでしょう」と言ってもらえました。
ここでは、簿記1級の知識をアピールできると同時に、目標に向かって自分の力で努力できる点もアピールできたと考えています。
面談が終わった後に転職エージェントを通じて面接のフィードバックをもらえるのですが、エージェントも、先方が簿記1級を取得していることを評価してくれていることを教えてくれました。
面接官(役員):「簿記1級と簿記2級ではどんな差があると思いますか?」
こちらも面接の中で受けた質問です。しかもこれは、最終面接の役員クラスからされた質問。ちなみにこの企業はCore30の中にも入っている企業です。
この質問に対する回答から、「どのような考え方をする人間かをみる」という意図もあるかもしれませんが、これだけの大企業のトップクラスの方でも、簿記1級を保有していることに興味をもって質問してくれました。
さらには「簿記1級、頑張ったねぇ」と評価してもらうことも出来ました。
確かに書類には書きましたが、自分からは面接の場で全くアピールしたわけでもないのにもかかわらずです。
簿記1級を取るメリットがあるのはどんな人?
私が転職するにあたって、どれだけ簿記1級に助けられたかは伝わったと思います。しかし、簿記1級を目指す方が誰しも私と同じ状況とは限りません。
実際の経験から、簿記1級を活かせるのはどんな人か考えてみました。
経理の実務経験が浅い人
経理の求人をみると、そのほとんどが、募集要件のあるものばかりです。例えば以下のようなパターンがあります。
-
事業会社での経理経験5年以上
-
開示業務の経験3年以上
-
資金調達業務を経験したことがある方
経理実務経験が浅いと、こういった募集要件の部分で引っかかってしまう場合があります。
しかし、上記はあくまでも目安です。経験年数以上に深い知識を持っていれば問題ありません。
そこで、その知識を保有しているという証明になるのが、簿記1級です。
実際に私も「実務経験5年以上」といった求人にも応募して、書類選考は通過しました。(当時の私の実務経験は3年程度)
せっかく行きたい企業の求人があっても、受ける前から諦めるのは嫌ですよね。上記のように、経験の浅さは、知識量である程度カバーできます。
大企業への転職を目指す人
大企業であれば、日商簿記1級で学習する連結会計や、退職給付会計、ヘッジ会計等の知識を存分に生かせます。
また、新卒の時は入れなかった企業も、簿記1級を取って経理としての入社であればチャンスがあります。
なぜなら経理は戦力として育成するのに時間がかかるので、外部から取ってくる手法が使われることが多いからです。
簿記1級のメリットがないのはこんな人
経理以外の職種でキャリアアップを目指そうとしている方
簿記1級の論点の中には、担当する業務によっては知っておくと役に立つ論点は数多くあります。(例えば、人事給与担当であれば退職給付会計、総務担当であればリース会計等)
だからと言って、経理でもないのに簿記1級のすべての論点を学ぶというのは、明らかにオーバースペック。その時間があれば、本職に関連することを勉強したほうがいいでしょう。
中小企業への転職を目指す人
中小企業で経理をやりたいという方にとっても、簿記1級はオーバースペックと言えるでしょう。
連結子会社として、親会社の処理を知りたいのであれば、簿記2級までで十分な範囲を学習できます。
中小企業であれば、むしろ実務で担当できる業務の幅の方が大切。なぜなら、中層企業は大企業と違い経理担当者が少ないため、必然的に一人で扱う範囲が広くなるからです。
よって、中小企業への転職を目指すのであれば、より実務寄りの資格であるFASS等の学習をお勧めします。
簿記1級の勉強はモチベーションがないと続かない
簿記1級が役に立つか疑問に思ったまま学習のモチベーションを保ち続けるのは、とても難しいと思います。
逆に言えば、簿記1級が将来どのように役に立つのかイメージできれば、たとえ独学でも挫折することなく勉強を続けることが出来るのではないかと思い、この記事を書きました。
この記事を読んで、学習に行き詰っている方に希望が見えたらうれしいです!
以上です!ここまで読んでいただきありがとうございました!
コメントを残す