経理系の資格として、最近知名度が上がってきたFASS検定。
FASS検定を一言で表すと、「経理・財務サービススキルのスタンダードを学べる資格」です。
ですから、この検定を受けるべき人としては、以下のような人が想定されます。
- 実務経験の浅い新人経理マン
- 自分の専門領域以外も学習したい中堅経理マン
- 経理ではないけど、業務に当たって経理知識が必要となる業績管理担当者
この記事を読んでいる方は、おそらく会社から受験を奨励されている人や簿記+αの経理知識習得を目指す人が多いと思っています。
この記事では、これからFASS検定を受験するかどうか検討するに当たって、そもそもFASS検定とはどのような試験か、FASS検定取得によって身に付くスキルなどを解説していきたいと思います。
筆者も経理職として働いていますが、FASS検定受験のきっかけは、やはり会社からの奨励でした。
実際にAランクまで取得してみて、どのように実務に生かせたのかも合わせてご紹介していきます。
FASS検定(経理・財務スキル検定)とはどんな資格か
経理・財務サービス・スキルスタンダードが身に付く資格
先ほどから出てきている「経理・財務サービス・スキルスタンダード」という言葉。
実はこちらは、平成16年に経済産業省から公表されているものです。
経理・財務といえば「簿記」や「税務」を勉強することを想定する方も多いと思いますが、実務で求められるスキルはそういった知識だけではありません。
このスキルスタンダードは、簿記や税務知識にとどまらず、経理・財務の業務プロセスを標準化・可視化して必要なスキルをまとめあげたものです。
FASS検定という名前はFinance & Accounting Skill Standardの頭文字から取っており、その名前からも、経理・財務サービス・スキルスタンダードを身に着けるための試験であることがわかるかと思います。
経理・財務サービス・スキルスタンダードの原典を参照したい方は、経済産業省の該当ページをご覧ください。
こちらをご覧いただくと、身に付くスキルのイメージがより湧いてくるでしょう。
FASS検定の試験概要
FASSの公式パンフレットから、試験概要の部分を抜粋します。
FASS検定では、経理・財務業務を行うために必要な知識全般が出題範囲となります。
そのため、たとえ簿記1級を持っていてもすぐに最高ランクを取得できる訳ではありません。
簿記で学ばない範囲の一例としては、売掛・買掛債権管理や、月次業績管理、資金管理などがあげられます。
FASS検定の問題数は100問。800点満点の試験です。
CBT方式の試験なので、試験センターにいって受験し、受験が終わると即、結果を確認することができます。
合否の概念はなく、取得スコアに応じてレベル判定が行われます。
スコアに応じた到達レベルを紹介するために、再び公式パンフレットから情報を引用してみましょう。
最高ランクのAレベルを取得するには、約87%以上の正答率が必要です。
次に受験者データをみてみます。
FASS検定受験者データ
ランク | 割合 |
---|---|
Aレベル | 18.0% |
Bレベル | 17.1% |
Cレベル | 28.4% |
Dレベル | 26.5% |
Eレベル | 10.0% |
上記がFASS検定受験者の到達レベル割合。
ハードルが高いかと思われたAレベルでも、20%ほどの割合を占めています。
一方で平均点は573点。Cレベルが平均となっています。
FASS検定でAランクを取得するための勉強方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
FASS検定で身に付くスキルは?
FASS検定では、100問という問題数からもわかる通り、経理・財務業務の幅広い知識が問われます。
先ほどの平均点を見て「試験範囲が広いのに、平均点が高いな」と思った方もいるのではないでしょうか。
たしかにFASS検定の試験範囲は広いのですが、問われる知識は基礎的な実務に対するものがほとんどです。平均点が高いのはこれが理由なんですね。
何が言いたいかというと、FASS検定受験で身につけられるのは、経理財務業務の基礎知識であるということ。
その業務を行うに当たって専門的な知識を補うというよりも、浅く広く基礎知識を習得することで、経理財務業務の全体像を把握することに向いています。
前者の目的であれば、むしろ簿記検定や税理士試験の方が向いていると言えるでしょう。
FASS検定を受験して身についたこと
筆者は現在経理歴5年程度ですが、経理に配属された当初にFASS検定を受験しました。
それまでは簿記を勉強していたのですが、簿記の知識だけでは実務は回りません。
簿記で学習した内容と実務のギャップを埋めてくれたのがFASS検定でした。
経理配属1年目に受けたFASS検定の結果はCレベルだったと記憶しています。
それから経理の実務経験をある程度積み、再度FASS試験に臨ことにしました。
3年目ともなると担当する業務の幅が広がり、純粋な経理業務だけでなく税務や資金業務の知識が必要とされる場面が増えてきたことがその理由です。
結果としてこの選択は正解だったと思っています。
1年目にFASS検定を受けた時には「お勉強」でしかなかった分野も、3年目になると実務面との結びつきを意識しながら学習を進めることができました。
1ヶ月くらいしっかり学習して、Aレベルを取得することができました。
この後転職することになるのですが、FASS検定は知名度が低いので面接でのアピール材料にはしていません。
FASS検定は資格ホルダーというアピール要素は小さく、実務スキルをあげることに特化している資格であるという認識を持っています。
転職でもアピールできる経理資格は?
FASS検定は実務寄りの試験。転職でもアピールしやすい経理資格について興味がある方は、こちらの記事をご覧ください。
以上です!ここまで読んでいただきありがとうございました!